AI向け半導体部門2.5倍、全売上高の87.5%に

 24年5~7月の売上高を事業部門別に見ると、AI向け半導体を含むデータセンター部門は、約263億ドル(約3兆8100億円)で前年同期の約2.5倍になった。同部門の売上高全体に占める比率は87.5%に達した。この比率は過去5四半期、59.6%、76.4%、80.1%、83.3%、86.6%と推移。上昇の一途をたどっている。

 一方、かつての主力事業だったゲーム部門の売上高は前年同期比16%増の約29億ドル(約4200億円)だった。売上高全体に占める比率は9.6%に低下した。

 エヌビディアは90年代にGPU(画像処理半導体)企業としてスタートし、その後ビデオゲーム用半導体の主要企業に成長した。その一方で、ジェンスン・ファンCEO(最高経営責任者)は、過去15年間、GPUの新しい用途を追求してきた。その結果、同社製GPUは、暗号資産のマイニングやAI分野で採用されるようになった。昨今の生成AIブームにより、データセンター部門は売上高がゲーム部門を上回り、同社最大の事業部門へと成長した。

次世代GPU、24年11月に出荷開始

 現在、米テクノロジー大手のAIへの支出が、エヌビディアの業績を押し上げるという構図が続いている。米ニューヨーク・タイムズ(NYT)によれば、米アップル、米アマゾン・ドット・コム、米メタ、米マイクロソフト、米グーグルは24年4~6月期だけで、計590億ドル(約8兆5400億円)の設備投資を行った。これは前年同期比で63%増、4年前と比較すると2.6倍になる。アップルを除けば、その大部分をデータセンターの建設と、AI構築のための新しいコンピューターシステムの導入に充てた。

 エヌビディアは24年3月に開いた開発者会議で、次世代GPUシリーズ「Blackwell(ブラックウェル)」を発表した。そのうちの「B200」は、チャットボットのようなタスクにおいて、前モデルに比べて30倍の高速性を実現する。

 Blackwellの生産体制については、一部報道で遅延が伝えられていた。だが、CNBCによると、エヌビディアは今回の決算説明会で、24年5~7月期にサンプル出荷を始めたと明らかにした。CFO(最高財務責任者)のコレット・クレス氏は、「量産を第4四半期(24年11月~25年1月)に開始し、数十億ドル規模の売り上げを見込んでいる」と説明した。

 ファンCEOは「生成AIが進んでいる方向性は非常に多様であり、実際に勢いが加速しているのを目の当たりにしている」と述べ、生成AIが大企業やスタートアップに新たな機会をもたらしていると指摘した。