寅子のモデル・三淵嘉子さんも原爆裁判を担当した。三淵さんと原爆訴訟は切り離せない。もっとも、放送の前半までは「原爆裁判には触れないのではないか」という見方が支配的だった。
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「原爆裁判」を描く制作陣の気概
原爆裁判を扱うと、国の戦争責任、多くの市民の命を奪った米国の非道に言及しないわけにはいかないからだ。大抵のプロデューサーは避けて通るに違いない。
しかし、この作品は並みのドラマではないのだ。腹の括り方が違う。これまでにも男女差別問題、民族差別問題、障がい者との共生問題に深く踏み込んだ。原爆裁判を描くのも当然なのだろう。
放送界の硬派なOBたちはこのドラマをこぞって応援している。放送界は2000年代から自民党の締め付けに遭い、ニュースやドキュメンタリーを自由につくりにくくなっているが、そんな中で差別など描くのが難しい問題から逃げていないからだ。ドラマはこうあるべきなのだろう。