夏休みの宿題を休みの終わり際にやった人の傾向

 窪田准教授らは、しつけが子どもの勤勉性に因果効果を持つことを明らかにしました※4。すなわち、親が幼少期のしつけをきちんと行い、基本的なモラルを身につけさせるということは、勤勉性という非認知能力を培うための重要なプロセスなのです。そして、このしつけによって育まれた勤勉性が、平均的な年収の差につながったのだと考えられます。

※4 窪田准教授らの研究は、窪田康平・大垣昌夫(2013)「勤勉さの文化伝達―親のしつけと世界観」Discussion Paper, 868, 大阪大学社会経済研究所

 行動経済学を専門とする大阪大学の池田教授の研究も、とても興味深いものです。

 この研究では、子どものころに夏休みの宿題を休みの終わりのほうにやった人ほど、喫煙、ギャンブル、飲酒の習慣があり、借金もあって、太っている確率が高いことを明らかにしています※5。要するに、宿題を先延ばしにするような自制心のない子どもは、大人になってからもいろいろなことを先延ばしにし、「明日からやろう」といっては結局禁煙できず、貯蓄もできず、ダイエットもできないというわけです。

※5 池田教授の著書は、池田新介『自滅する選択』(東洋経済新報社、2012年、第55回日経・経済図書文化賞受賞)

夏休みはやっぱり短い(写真:Hakase/イメージマート)夏休みはやっぱり短い(写真:Hakase/イメージマート)
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