お茶の間に「福祉」の視点を根付かせた功績
この番組は障がい者や高齢者との共生を呼び掛けたり、子供の難病患者の実情を紹介したり、子供食堂の重要性を訴えたりしてきた。子供たちが福祉について考える入口になってきた。
香川県には中学生の時に『24時間テレビ』を見て心打たれ、高校時代から手話を習い始め、手話通訳士となった男性がいる(四国新聞2015年3月19日付)。島根県出雲市では幼稚園児から高校生までが一丸となって番組への募金を集め始め、やがてグループで障がい者と交流するようになった。地域の結び付きも強まった。
こんな動きは例を挙げたらキリがない。毎年、番組の放送時期になると、全国の中高生たちが募金集めに参加する。その中から福祉大に進む人、福祉の仕事に就く人、福祉への理解の深い人が生まれる。やはり、この番組は終わらせるべきではない。筆者のこの考えは四半世紀前から変わっていない。
過去46回の『24時間テレビ』に寄せられた募金は433億2769万3640円。番組側はこれを基に、バスケットボール用車いすやスポーツ用義足、車椅子で乗れるリフト付きバス、電動車椅子などを必要とする団体や個人に贈ってきた。いずれも行政のサポートが不十分だから、行き渡っていないものである。
近年は子供食堂の支援も行っている。無料塾と並び、子供の間の格差をなくすためには欠かせないものと考えられるが、やはり行政のサポートは十分ではない。それらを『24時間テレビ』を見た人たちの浄財によって補おうとする発想は貶されるべき話ではないはずだ。