文・写真=山﨑友也 取材協力=春燈社(小西眞由美)

伊賀鉄道忍者線を走る「忍者列車」。外観も独特だが、車内はもっと衝撃的!?

車両のデザインは松本零士氏

“伊賀”と聞いてまずみなさんが思い浮かべることといえば、“忍者”ではなかろうか。滋賀県の甲賀とならび、三重県の伊賀は忍者発祥の地として知れ渡っている。その伊賀市にある伊賀上野と伊賀神戸(かんべ)を結んでいるのが伊賀鉄道。全長わずか16.6kmのローカル私鉄なのだが、ここには「忍者列車」なる謎めいた列車が走っている。ネーミングだけでは想像もつかない奇想天外な列車を、今回は紹介してみよう。

「忍者列車」はまず車体のデザインが特徴的だ。前面には忍び頭巾をした忍者の顔をイメージしたラッピングが施され、大きくて鋭い目がインパクト大である。青色のほか、「くノ一」を表現したピンク、そして緑色の3種類の忍者列車が走っている。のんびりとした田園地帯をこのような奇抜な列車が走る光景はとてもユーモラスで、思わず笑みがこぼれてしまう。

「忍者列車」が誕生したのは1997年。当時は伊賀鉄道が近畿日本鉄道の伊賀線だった時代。市内の住宅開発にあわせて忍者をPRする一環で、車両に忍者を描くことになったのだ。ちなみに列車に描かれた目にどことなく見覚えを感じた方もいるだろうが、「忍者列車」のデザインは「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」の作者である漫画家の松本零士氏である。その後車両の老朽化によって2009年から現在の200系にバトンタッチしたが、大まかなデザインは変わっていない。

 全国には変わった外観の列車がたくさん走っているが、車内のユニークさという点では、ボクは「忍者列車」が日本一だと思っている。むしろ外観よりも車内に楽しさがあふれかえっているのである。

 青色やピンクの列車に乗り込んでみると、誰もが驚愕の事実に直面する。なんと網棚に忍者が潜んでいるではないか! 知らずに乗車した人は思わず声をあげてしまうほどで、こんな衝撃を受ける列車はないだろう。もちろんなかに本当に人が入っているわけではなく、マネキン人形なのでご安心を。 

ふと見あげると、そこにはまさかの光景が。忍者の姿やポーズは車両や位置などによって違うので、比べてみるのもよい