悪意の捌け口にされないために

「ずるい攻撃」をする人から悪意の捌け口にされてしまう人は、どうして自分が攻撃を受け取ってしまうのか、なぜ支配下に入ってしまうのか、自分自身の過去を精査し、掘り下げていくことが重要だ、とも著者は語っている。

 例えば、いじめなどのトラウマや恐怖の体験、支配的な親に育てられた経験などから来る「人に嫌われたくない、見捨てられたくない」という思いだ。

 このような思いを抱え、自分の意見を表現できない人の特徴は、先ほど紹介した「ずるい攻撃」をする側の人と一部重なる部分がある。実は、攻撃される側の立場になった人の中には、その怒りを自分よりも弱い立場の人にぶちまける「怒りの置き換え」という心理状態になってしまう人もいる。

 怒りは、より弱いものへと引き継がれ、連鎖していく。こういった連鎖を自分の番で止めるためにも、自分自身の問題が何であるかを客観視することが肝要だ。

 パワハラなどの明らかなハラスメントが問題視されている昨今だが、こういった「ずるい攻撃」はそう簡単になくなるとは考えられない。万が一、自分に矛先が向かったとき、どう対処するか。全ての人々にとって一読の価値がありそうだ。

「ずるい攻撃」をする人たち』(大鶴和江著、青春出版社)