問題児との付き合いで必要な「限界設定」

──この本を読んで、自分も他人事ではないなと思いました。この本の中に出てくる問題行動を自分もしてしまったことがあります。ただ、やっていた時に半ば罪悪感があったし、結局、相手との関係が悪くなり後悔しました。そのように失敗を重ねて少しずつ問題行動が改善されていくということはありませんか。

片田:そのお話には2つの重要なポイントがあります。1つは「ある程度は自覚があった」ということです。もう1つは「フィードバックがかかった」ということです。相手の反応を見て、自分の言動を省みる機会があった。それが大切です。

 職場を腐らせる人がいたら、「この人はフィードバックがかかる人かどうか」を見極めることが大切です。指摘を受けても、全く省みることができない人、むしろ自分のほうがパワハラの被害者などとムキになって主張する人、そのように受け入れる能力のない人もいます。

 フィードバックがかからない人に対して指摘をするのはやんわり程度にしておいたほうがいい。とはいえ、困った行動をやられっぱなしではいけないので、ここで大切なのは「限界設定(limit setting)」をすることです。

 つまり、問題のある方の一連の行為に対して、「ここまでは許容できるけれど、ここを超えたら許容できない」という線引きをきちんとしておいて、それを超えたと思ったら、皆でコンセンサスを作って、ある程度伝えたほうがいいと思います。

 限界設定はとても大切です。それを決めておかないと、迷惑行為に歯止めがかからなくなります。

腐ったミカンが一つでもあると、全体が影響を受けてしまう(写真:hanasaki/イメージマート)腐ったミカンが一つでもあると、全体が影響を受けてしまう(写真:hanasaki/イメージマート)

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長野光(ながの・ひかる)
ビデオジャーナリスト
高校卒業後に渡米、米ラトガーズ大学卒業(専攻は美術)。芸術家のアシスタント、テレビ番組制作会社、日経BPニューヨーク支局記者、市場調査会社などを経て独立。JBpressの動画シリーズ「Straight Talk」リポーター。YouTubeチャンネル「著者が語る」を運営し、本の著者にインタビューしている。