高配当株を選ぶのに役立つ
「会社四季報」4つのチェックポイント

 高配当株は、「好業績株であること」と「財務の健全性に問題がないこと」が大切です。そこで確認したいのが、個人投資家のバイブルと言われる「会社四季報」です。

 会社四季報には、次図のように上場企業のデータが詳細に記載されています。 

出所:「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)より

 次の4つのポイントをチェックしましょう。

(1) 記事欄の【見出し】

「記事欄」の最初の見出しに注目し、業績好調を示す強い見出しかどうかをチェックしましょう。

【絶好調】【最高益】【連続最高益】【高水準】【大幅拡大】【連続増配】などの見出しは、その企業の好調ぶりを示します。また、【独自増額】は、会社四季報の記者が取材の結果、「会社計画は保守的すぎる」と判断し、独自に予想を引き上げたことを指します。

 このような、四季報担当者が考え抜いたポジティブな見出しには注目です。

(2)業績欄の「売上高」「営業利益」「EPS(1株当たり利益)」「1株当たり配当」

 記事欄と合わせて「業績欄」を見ましょう。まず、企業が商品やサービスを売ることで稼いだ金額の合計を示す「売上高」と、本業で稼いだ金額を表す「営業利益」をチェック。過去3〜5期と予測2期分の売上高と営業利益が両方とも右肩上がりになっているかを見てみましょう。

 ポイントは「両方とも」右肩上がりになっていること。営業利益だけが右肩上がりの企業は、経費削減によるものであるケースが多く、今後の成長が見込めるとは必ずしもいえません。

 1株当たり利益(EPS)とは、会社の最終的な利益である当期純利益を発行済み株式数で割ったもの。EPSが年々増えている会社は堅実に成長していることを表します。

 1株当たり配当が年々増加していることも合わせてチェック。高い配当を出し続けられるか、増配の可能性があるのかが判断できます。

(3)財務欄の「自己資本比率」「有利子負債」「利益剰余金」

 会社の成長には借金が欠かせませんが、度を超えた借金があると財務的に苦しくなってしまいます。そこで、会社にあるお金のうち、返さなくていい部分(自己資本)の割合を示す「自己資本比率」をチェックしましょう。50%以上だと安全性が高いと判断されます(ただし、例えばリース業は業界平均で15%程度となっていますので、業態にもよります)。

 また、会社の有利子負債(利子をつけて返さなければならないお金)は少ないほど健全。配当金は会社が蓄えている利益剰余金から出しますので、利益剰余金が多いことも注目ポイントです。

(4)業績予想の修正欄

「業績予想の修正欄」には、今号の四季報営業利益予想と前号の予想を比べた場合の増減が矢印で記載されています。「↑↑」(大幅増額:30%以上の増額)、または「↑」(増額:5%〜30%未満の増額)の企業は、業績がさらによくなる期待ができます。

 また、顔文字(ニコちゃんマーク)が笑顔だと、会社予想の営業利益よりも四季報予想の営業利益が強気(四季報担当者が「企業予想が保守的だ」と考えている)ことを表します。

 高配当株投資による損失を少なくするためには、10銘柄から20銘柄に分散投資することが大切です。

 また、値動きを抑えつつ、安定的に高配当をもらうという戦略ならば、業績や株価が比較的安定している、不況に強い業種の銘柄を選びましょう。不況に強い業種には、食品、医薬品、電力・ガス、鉄道、通信などが該当します。いずれも、不況になってもなくてはならないものなので、不況に強いというわけです。