「いまの仕事は楽しくなさ過ぎる」

「仕事が面白くない。このままではいけない」──。そう思っていた時、友人が遊びに来るのに合わせて有給を取ろうとした。上司から理由を尋ねられ素直に答えると、「遊びで有給取るの?」と言われた。「この会社はもう辞めよう」とMさんは決意した。入社から1年半がたった頃だった。

 グローバル人材向けの転職サイトに登録し、すぐにリクルーターがついた。1~2カ月ほどで、外資系の広告代理店への転職が決まった。ビデオ面接、対面の面接を1回ずつ行い、すぐに決まった。

 部長からは慰留された。「もう辞めるんですか? 来たばっかりじゃない」。そう言われても転職の決意は揺るがなかった。辞める前に有給をすべて消化しようとすると、「有給を使うんですか」と驚かれたが、結局は有給をすべて使って辞めることができたという。

 転職にためらいはなかった。「3年くらいはやるべき」という考えもあったが、「いまの仕事は楽しくなさ過ぎる。早く逃れたい」という気持ちが勝った。

 厚生労働省の転職者実態調査(2020年)によると、主な離職の理由は「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」(28.2%)、「満足のいく仕事内容でなかったから」(26%)、「賃金が低かったから」(23.8%)である(3つまでの複数回答)。Mさんの1社目の離職理由はこのうち、「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」、「満足のいく仕事内容でなかったから」に当てはまるだろう。退職理由としては典型的なものである。