公職選挙法違反の疑い

 学業の実態なくして、卒業証書らしきものを所持していることは、学歴と言えるだろうか? 答えは当然ノーだろう。ノーなら、公職選挙法の虚偽事項公表罪に該当する可能性がある。

 かつてハワイにパシフィック・ウエスタン大学という大学(2006年に閉鎖)が存在し、30万円出せば博士号をもらうことができた。小池氏のケースはこれと似たようなものだ。考古学者の吉村作治氏(元早稲田大学教授)は同大学から博士号を買っているが、そんなものが国内外で学位として認められるはずもなく、本人は「冗談だった」としている。

学業実態がないこれだけの証拠

 小池氏に学業実態がないという証言や証拠は山ほどあり、小池氏はこれらに対し、具体的な反論や説明は今までほとんどしていない。全部を挙げると長くなるので、ここでは主なものだけを挙げる。

1.カイロで同居人だった北原百代氏は、小池氏が1976年5月の学年末試験で落第し、4年生になれてもいなかったので、追試も受けられなかったが、同年秋にサダト大統領夫人が来日した際に、非公式のアテンド係として潜り込み、カイロ大学首席卒業という嘘の経歴を使い始めたと、当時の手紙などの証拠にもとづいて証言している。小池氏はこれに対し、ろくな釈明もしておらず、名誉毀損訴訟を起こしてもいない。訴訟を起こしても勝てないと思っているからだろう。

2.先に述べた通り、小池氏は自著で「1年目は落第した」と述べており、それならば、早くても1977年にならないと卒業できない。しかし、卒業したのは1976年10月としている。この点は石井妙子氏が『女帝 小池百合子』で指摘し、都議会でも上田令子都議(江戸川選挙区)らが複数回にわたって質問しているが、小池氏は説明や答弁を拒否している。

3.小池氏は昔から「文学部社会学科では卒論はなかった」と述べてきたが、筆者は2018年9月に、カイロ大学文学部社会学科を1976年に卒業した現役のカイロ大学教授に会い、学科生全員に卒業論文提出が義務付けられていたことを確認している。このことを都議会で問いただされた小池氏は、「記憶」という語を連発し、「アカデミズムに進むような人は卒論を書く」と答弁した。これは“珍説”と言うほかなく、4年生に進級していなかったので、卒論のことを知らなかったためと思われる。