カイロ大学のマスコミュニケーション学部を卒業し、エジプト政府の機関で働くジャーナリストは、やはりサダト政権・ムバラク政権下において、多数の“不正卒業証書”が発給されたと指摘する。

 日本の公的組織に勤務するカイロ大学卒の管理職のエジプト人男性は「金やコネでカイロ大学の卒業証書を手に入れることは、十分あり得る。日本の重要人物の関係者ならば、日本との関係をよくするために、エジプト政府と話してのことかもしれない」と言う。

 日系新聞社のカイロ支局にリサーチャーとして勤務する女性は「政治家が『この人物を卒業したことにしろ』と言えば、当然、卒業したことにされて、“不正卒業証書”が発行される」と述べる。

 小池氏は、このような「complementary certificate」を手に入れられる強力なコネを持っていた。すなわち小池氏の父、勇二郎氏が、当時のエジプト副首相兼文化・情報相アブドル・カーデル・ハーテム氏と昵懇で、カイロ大学入学に際しても、同氏の働きかけで「関西学院の数ヶ月間とカイロ・アメリカン大学の数ヶ月間を足して1年間とみなしもらい、カイロ大学の2年生に編入できることになり、授業料も入学金も無料になった」と小池氏が喜んでいたと北原百代氏は証言している(もし本当なら、国の編入ルールに反する不正入学である)。

内部の記録も完璧に書き換えられる

 では、「complementary certificate」が発行された場合、大学内の記録はどうなるのか?

 先のベテランのエジプト人ジャーナリストは「職員は入学記録や初年度の成績などを参考に成績表も偽造し、大学内の記録も含めて形式的に完璧にする。したがって書類だけを見れば瑕疵がない」と述べる。もし小池氏が持っている卒業証書類が「complementary certificate」ならば、小池氏の成績表や卒業生名簿(そのようなものがあるならば)等を含め、大学内の記録も卒業したように整っているということだ。