なぜ中学受験が過熱するのか

 なぜ、大学受験の熱が下がることと中学受験の過熱がセットだとぼくが考えるのかというと、いくつか理由があります。

 1つは、純粋に学力を測る試験の場が中学受験に移行しているということです。大学受験は総合型選抜の割合が増えるなど、学力だけではない方向に変わっています。高校入試も内申点などがあり、学力だけを測るわけではありません。

 そうなると、100%ピュアな学力を競う場、本当に純粋な学力という透明性のかなり高い共通の尺度で競う場は中学受験しかないわけです。

日本の未来、本当に大丈夫なんですか会議 経済学×社会学で社会課題を解決する』(西田 亮介・安田 洋祐著、日本実業出版社)
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 でも、中学受験は時間もお金もかかります。さらに、一番のデメリットは小学校6年生の段階で受験して、みんながみんな第1志望に受かるわけじゃないということです。

 小6の段階で頑張ったけれども報われないとか、そういう挫折を経験するわけじゃないですか。まだ人格もしっかり形成されないうちに、大きなショックを受けることになるわけです。それって、どうなんだろうな、そんなの必要? という気がします。

 大学受験ならほぼ大人です。受験の失敗程度の挫折は社会人ならいくらでもあるのでまだいいのですが、小学生にはあまりにもかわいそうじゃないですか?

 ちなみに、小学校のお受験に関してはほとんど家庭や親の責任なので、子どもは別にショックを受けません。幼稚園児や保育園児の場合、「○○小学校を受かった/落ちた」なんて本人もよくわからないですよね。でも、中学受験は本人も痛いくらいにわかります。

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