H5N1型の機能獲得実験が次のパンデミックの発端に

 機能獲得実験とは、自然界に存在するウイルスの感染力や毒性を変化させるために遺伝子配列などを変える実験のことだ。

新型コロナウイルスは中国・武漢の研究所が起源か(写真:JBArt/Shutterstock)

 米国では「新型コロナウイルスは、米国政府から資金提供を受けた中国の武漢ウイルス研究所で実施されたコウモリの体内に存在するコロナウイルスへの機能獲得実験によって誕生した」との説が指摘されている。米ニューヨークタイムズもこのことを主張する専門家の論説を掲載している*2

*2Why the Pandemic Probably Started in a Lab, in 5 Key Points(6月10日付、米ニューヨークタイムズ)

 米疾病予防管理センター(CDC)元所長のロバート・レッドフィールド氏は5月末「研究者がH5N1型ウイルスをいじくりまわして感染力を高めることが次の大規模なパンデミックの引き金になる」と機能獲得実験の危険性について警鐘を鳴らしている。

 真偽のほどは定かではないが、現在流行しているH5N1型が世界のどこかの実験室で作られた可能性は排除できないと思う。

 WHOは次のパンデミックに備えて新たな条約を策定中だが、最も大切なのは、野放し状態にある機能獲得実験に対する規制なのではないだろうか。藤 和彦(ふじ・かずひこ)経済産業研究所コンサルティング・フェロー
1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。