鳥インフルエンザウイルスの血液サンプル=イメージ(写真:mikeforemniakowski/Shutterstock)
  • 米国で鳥インフルエンザ「H5N1」型が急拡大している。乳牛の間で感染が広がっており、ヒトへの感染も確認されている。
  • 新たなパンデミックになりかねないとの警戒が高まっているが、本当に危ないのは研究所での「機能獲得実験」で誕生した変異ウイルスの流出だ。
  • 新型コロナウイルスが米国の資金援助を受けた中国の武漢研究所で誕生したとの指摘は根強い。H5N1をベースにした「新種」がどこかの研究所から流出したら……。(JBpress)

(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が起きてから4年が経過した。

 有効なワクチンや治療薬が普及したことで新型コロナはようやく「流行風邪」になった感があり、日本でも通常通りの日常生活が戻りつつある。

 だが、世界保健機関(WHO)は「『疾病X』によって次のパンデミックはいつ起きてもおかしくない」と警戒している。

 疾病Xとは、医学的に知られていない病原体により世界規模で引き起こされる流行病のことだ。「最悪の場合、世界全体で5000万人超の犠牲者が発生する可能性がある」とWHOは想定している。

 5000万人超という規模は、1918年から1920年にかけて世界的に流行した「スペイン風邪」に匹敵する。

 WHOは新種の危険な病原体の発見・分析に力を注いでいるが、筆者は「米国を中心に流行している鳥インフルエンザ(H5N1型)が新たなパンデミックを引き起こしてしまうのではないか」と懸念している。

 H5N1型のヒトへの感染は既に起きている。