H5N1型の感染を予防するワクチン開発も

 米国政府はH5N1型のヒトへの感染を予防するワクチンの獲得に乗り出している。

 米保健社会福祉省は5月30日「英医薬品大手CSLセキーラスから取得したワクチン原液を最終工程に移す」と発表した。

 米国政府は米医薬品大手モデルナのメッセンジャーRNA技術を使ったH5N1型用ワクチンの後期臨床試験にも資金を提供しようとしている*1

*1米、モデルナの鳥インフルワクチン試験に資金提供で合意間近=FT(5月30日付、ロイター)

 接種対象は牛との接触回数が多い畜産・酪農家や獣医師などだ。

 欧州政府も米国と同様の動きに出ている。これに対し、日本政府は静観の構えだが、はたして大丈夫だろうか。

 筆者が注目しているのは、米国の研究者の間でH5N1型ウイルスが短期間で大きな変異を遂げたことに驚きの声が上がっていることだ。

 まず挙げられるのは、牛を始め多くの哺乳類に感染することになったことだ。

 さらに、以前のH5N1型の致死率は極めて高かったが、今回は宿主(ウイルスが感染する生物)へのダメージが小さいことだ。致死率が下がれば安全のように思えるが、宿主から宿主への感染が広がりやすくなるため、パンデミックが起きやすくなる。スペイン風邪の致死率も2%と低かった。

 ウイルスの変異の要因として指摘されているのが「機能獲得実験」だ。