中国人民解放軍(中国軍)は5月23日、台湾を取り囲む形で24日までの軍事演習を開始したと発表した。
5月20日に発足した、中国が台湾独立派と見なす民主進歩党の頼清徳新政権に強い軍事的圧力をかけるのが最大の狙いである。
一方、米空母「ロナルド・レーガン(CVN-76)」は現在、フィリピン海で活動中であり、米海軍とオランダ海軍は5月22日、南シナ海で二国間演習を実施した。
これは、偶然の一致というにはあまりにも不自然であり、台湾総統選挙後の中国軍の出方を見越し、その動きを警戒監視・牽制する目的で行われた計画的行動であると見るのが適切であろう。
独立の動きとみた中国の懲罰的台湾包囲演習
本演習を実施したのは、中国軍で台湾方面を管轄する東部戦区である。
その報道官は5月23日、軍事演習に関し「台湾独立を図る動きに対する効果的な懲罰だ」とする談話を発表した。
また、「台湾に干渉する外部勢力への厳正な警告だ」と強調したのは、米国や日本などを念頭に、台湾に対する協力連携を牽制・阻止することも目的であったことの表明である。
今回の演習は、台湾国防部の発表によると軍艦15隻、海警局艦船16隻、軍用機33機の作戦展開が確認されている。
そして、中国軍が発表した下記演習図の通り、地形的には台湾海峡、台湾北部、南部、東部を中心に、台湾を取り囲むように実施された。
中国軍が発表した台湾周辺での演習図