米比に加え15か国が参加した大演習
4月22日に始まった米国とフィリピンの合同軍事演習「バリカタン2024」は、約3週間にわたって実戦的かつ挑戦的な訓練が行われ、5月10日をもって終了した。
バリカタン2024には、米比に加え、オーストラリア軍とフランス軍が初めて正式参加した。
さらに、日本をはじめ韓国、インド、ニュージーランド、カナダ、英国、ドイツ、マレーシア、ブルネイ、インドネシア、ベトナム、タイ、シンガポールの13か国がオブザーバー参加した。
南シナ海事態を巡って、合計17の同志国が多国間パートナーシップを強化した最大規模の演習となった。
本演習は、フィリピンの「包括的列島沿岸防衛構想(Comprehensive Archipelagic Coastal Defense Concept)」と称する新戦略に基づいて行われた。
この構想は、フィリピンの防衛態勢の範囲をセカンド・トーマス礁やスカボロー礁など南シナ海の島々を含む排他的経済水域(EEZ)、そしてルソン海峡などの最外縁領域に拡大することを目的としている。
これをもって、日本から台湾、フィリピンそしてボルネオ島へと続く第1列島線の防衛が一応連結された形となり、対中国包囲網が強化されたことが、本演習の最大の狙いであり成果ともいえよう。
同演習では、フィリピンおよびその周辺海空において多領域にわたる訓練・演習が行われたが、その中で注目すべき2つの訓練について概観してみよう。