日本のイージス艦がもつ高い防空能力が示された(写真は令和3年度海上自衛隊演習、海上自衛隊のサイトより)

初めて実戦使用された「SM-3」

 イスラエルは4月1日、シリアのイラン大使館を攻撃した。この攻撃でイラン革命防衛隊の幹部が殺害された。

 その報復としてイランは4月14日、イスラエルに向けて多数の無人機やミサイルによる大規模な攻撃に踏み切った。

 米政府高官は、イランの攻撃で少なくとも中距離弾道ミサイル(IRBM/MRBM)100発、巡航ミサイル30発、無人機150機が使われたとの分析結果について説明した。

 また、当事国のイスラエル軍は、そのほとんどを迎撃したと発表した。

 これに関して、米海軍協会(USNI)ニュースは、「イランによるイスラエル攻撃への米国の対応中、ミサイル駆逐艦が弾道ミサイル(BM)を迎撃するために開発されたミサイルを実戦で初めて発射」し、イランのBMを迎撃した旨伝えた。

 米国防当局者によると、イランによる攻撃に対する防衛措置の一環としてイスラエル沖に米海軍のミサイル駆逐艦・アーレイ・バーク(DDG-51)と同・カーニー(DDG-64)の2隻が配備された。

 アーレイ・バークとカーニーは、イスラエルの地上攻撃に向かうイランのBMを迎撃するためにスタンダード・ミサイル-3「SM-3」を発射し、4から6目標を撃墜したという。

 両艦は、BMを標的として追跡し迎撃するよう改良されたイージス戦闘システムを装備している。

 同システムの「SPY-1Dレーダー」が発射されたBMの目標情報をSM-3に伝え、 SM-3は、BMが大気圏に再突入して地上目標を攻撃する前に、発射点から飛翔経路の最高点近くの大気圏外でBMを迎撃した模様である。

 イランがイスラエルに向けてどのような弾道ミサイルを発射したのかは現段階では不明であるが、米海軍がSM-3を使用したという事実は、イランが保有するIRBM/MRBMの一部を使用した可能性を示していると見ることができる。

 この戦闘は、次の2点に大いに着目すべき特徴がある。

①米海軍のイージス艦が、実戦において初めてSM-3を発射しイランのBMを迎撃したこと。

②BMの迎撃は大気圏外で行われ、宇宙空間での戦い、すなわち「宇宙戦」が交えられたこと。