400年ぶりの中国優位復活という歴史的転機

 理由は、以下の通りである。

 第一に、中国の世界2位になった経済力とそれを支える人口である。

 中国の人口は、ロシアの約10倍だ。寒冷で人口が希薄なロシアから中国を見ると、巨大な人口密集地に見える。

 中国の経済成長は、米国から見て、冷戦期のソ連とは大きく異なるものであった。なぜなら、冷戦期のソ連は米国より規模的にはるかに小さいだけでなく、軍事産業や宇宙産業などを除き、米国と競争できる産業分野はなかった(少なかった)。

 ところが、2010年以降の中国は経済規模に加えて、IT産業や再生可能エネルギー関連産業、ドローンなど数多くの産業で世界をけん引するレベルにまで到達している。

 単に経済規模だけでなく、最先端の産業という中身も伴っている中国は、米国をはじめ西側諸国に大きな脅威と映っている。

 第二に、2014年のクリミア併合による、ロシアの西側からの追放である。

 ウクライナ侵攻以降、完全に西側と対立する国家となったロシアだが、わずか10年あまり前までは、主要国首脳会議(現在のG7サミット)の参加国だった。ロシアが主要国首脳会議から追放されたのは、2014年のクリミア併合からだ。

 西側諸国から追放されたロシアが頼るのは、西側ではない大国・中国以外にない。400年ぶりの中国優位という歴史的転機に中国は、ほくそ笑んでいることだろう。