(英エコノミスト誌 2024年5月18日号)

プーチン氏は大統領就任後初の海外訪問先に中国を選んだ(5月16日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

2人の仲は欠かすことのできない長期的な必要性に基づく関係だ。

 昨年3月、モスクワを訪れていた中国の習近平国家主席はクレムリンのドアの前で立ち止まった。

 そしてウラジーミル・プーチン大統領に別れの挨拶をする前に、最後の提案を行った。

「百年変局」という言葉を使い、世界の秩序が変わる歴史的な時期が来ているという中国の認識を伝え、「これを一緒に促進しよう」と言った。

 今年5月16日、両首脳は通算で43回目となる会談を行った。

 米国の力に対する中国の攻撃において、ロシアはますます重要なパートナーになっている。経済面の関係が強化されているうえ、軍事的なつながりが深まる兆しも見受けられる。

 米国は今月に入って、中ロ貿易に対する制裁を2度強化した。

 習政権は強く反発しており、「中国を封じ込めたり、そのイメージを傷つけたりするのをやめよ」と西側諸国に促している。

西側との戦いで共同戦線

 5月のイカサマ選挙で5期目を勝ち取ったプーチン大統領が最初の訪問国に選んだのは中国だった。今回の訪中と2023年の会談との間には一種の対称性が見られる。

 2023年の会談は、習氏が前例を覆して3期連続で国家主席になることを全国人民代表大会(全人代)に認めさせた直後のことであり、プーチン氏がウクライナで戦争犯罪を働いたとして国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を発付した数日後のことだったからだ。

 この2人は直接会うことにより、独裁者の邪魔をしようとする西側を侮辱しているのだ。

 ロシアの指導者プーチン氏は中国を頻繁に訪れている(図1参照)。

図1

 今回の訪中は、2000年の大統領就任以降では19回目にあたる。2022年2月の北京訪問は、ウクライナと本格的な戦争を始める数日前に行われ、まさに一線を越える旅となった。

 両指導者は共同声明を発表し、両国には「民主主義の長年の伝統」があると誇らしげに語って独裁制を定義し直そうとした。

 また、米国を意味する「外敵」が「自分たちの近隣地域の安全保障と安定を損なおうとする試み」に対抗するお互いの戦いを支持した。

 そして非常に驚いたことに、中ロ関係には「限界はなく、協力が『禁じられた』範囲もない」とも述べている。