与えるのは指示ではなく情報

「強要」と「連携」について、マルケ氏が示したもっと単純な具体例がある。たとえば部下の運転する車に乗っていて、「そこに停めて」と指示するのは強要に等しい。言い方を変えて「そこに駐車場があるよ」と情報を与えることで、部下の中に「その場所に車を停めよう」という意識がもたらされる。そんな些細な言い方の違いも組織や個人間の連携に影響するというのがマルケ氏の考え方だ。

 筆者が原子力潜水艦の元艦長という一風変わった経歴を持つが、全編を通じて小難しい表現はほとんどなく、わかりやすい言葉で語りかけてくる。人の上に立つ立場でチームの連携を高めたいと考えているビジネスパーソンにとって、自分の「言い方」を見直してみようと思わせる一冊だ。

最後は言い方 これだけでチームが活きる究極のスキル』(L.デビッド・マルケ著、東洋経済新報社)