アサヒグラフは1923年創刊というグラフジャーナリズムの草分け的雑誌だが、やはり時代の波にのまれ2000年に定期刊行物としては休刊となった。
同じく毎日新聞社から出ていた毎日グラフも質の高いルポルタージュフォトで毎号が楽しみだった。両誌ともベトナム戦争、水俣病、バブル経済、町の日常、田舎の祭り、とルポルタージュの内容は多岐にわたり、大きな誌面から迫力のある写真が見る者の心に飛び込んできた。厳しく選び抜く編集者の目があるからこそフォトジャーナリズムは育つ。毎日グラフも2001年に休刊、写真を志す人間の受け皿はどんどん少なくなっていった。
撮った写真が「TIME」、「Newsweek」、「パリマッチ」の表紙に
さらに、やはり写真家にとっては、自分の写真が多くの人々の目に留まり何かを感じてもらうことが願いだ。紙の媒体である雑誌や新聞は広く店頭に並び興味のない人々の目にも否が応でも飛び込んでくる。今はSNSで簡単に世界と繋がることができるというが、紙の世界は捨てがたい。
私の事で言えば、長年の夢が叶い写真がアメリカのTIME誌、Newsweek誌、フランスのパリ・マッチ誌などの表紙に掲載されたことがあるが、世界中の書店の店頭や駅の広告で自分の写真が町行く人々の目に留まっているという感動は確かにあった。エージェントからは《Noboru Congratulations‼》と皆の寄せ書きがファックスで届いた。手書きの文字が温かかった。
皇太子時代の天皇陛下が雅子様と婚約したことを伝える米国版『Newsweek』誌。筆者の写真が表紙に使われたが、タイトルが「気の進まないプリンセス」なのには少々参った