中距離、弾道ミサイル対応のシステムも

 アイアン・ドームは、あくまでハマスなどが打ち込んでくるロケット砲弾やドローン攻撃に対応する短距離の防空システムです。対応できる敵の兵器も限定されています。そのため、イスラエルはアイアン・ドームに加え、中距離ミサイルに対処する「ダビッズ・スリング」、弾道ミサイルに対応する守備範囲2400km の「アロー3」という3つの防空システムで国土を防衛しています。

 このうち、2017年に実戦配備されたアロー3については、イスラエル軍が昨年11月に初めて実戦で使用したと公表しました。イエメンの武装勢力・フーシ派が発射したとみられる弾道ミサイルを迎撃し、イスラエル南部の都市エイラートに到達する前に撃ち落としたということです。

 もちろん、軍事的脅威を根本から取り除く最終手段は外交です。アイアン・ドームを配備して10年以上が経過した今も、ハマスの攻撃が繰り返されている事実がそれを物語っています。

フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。