ウクライナが供与求める
アイアン・ドームの性能には世界各国が注目しています。
最近では、ロシアの侵攻に直面したウクライナが再三、アイアン・ドームの供与を求めました。とくに侵攻後の2022年8月にガザから撃ち込まれたロケット砲弾470発の97%の迎撃に成功したことで、アイアン・ドームへの関心が一気に高まったようです。ただ、ロシアとの関係悪化を恐れるイスラエルは、アイアン・ドームの供与に同意していません。
北朝鮮との軍事的緊張を強いられる韓国は、ロケット砲弾による攻撃に備え、“韓国式アイアン・ドーム”の開発を急いでいます。当初は2029年の実戦配備を目指していましたが、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は関連予算の増額に踏み切り、計画を3年早める考えを示しています。
一方、アイアン・ドームは米国と深い関係にあります。イスラエルのラファエル社はもともと開発に際して、米国の軍需企業「レイセオン・テクノロジーズ社」の技術協力を得ています。昨年来のガザ侵攻に際しては、アイアン・ドームで使用する迎撃ミサイル「タミル」を米国がイスラエルに供与しました。
もっとも、アイアン・ドームの性能がいくら向上したとしても、それだけで軍事的脅威を取り除けるわけではありません。