――まず、狩山夫婦が現在より若く見える演出になっています。そして、橋に夢中になっている夫に、妻玲子は「ねぇ、橋じゃなくてあたしたちの家を設計してくれるって約束でしょ」と訴えています。将来は夫陸の設計した家に住む、というのが結婚時の約束だったのでしょう。
一方、手賀大橋が4車線で開通したのが今から23年前の2001年。開通したことを知った狩山陸が妻をつれて橋を見に行ったとすれば、2人は30~33歳前後でちょうど新婚時代ぐらいではないでしょうか。
ドラマ制作スタッフが、そこまで計算したかどうかはわかりませんが、リアリティを踏まえての手賀大橋だったのかもしれないなと思いました。
吉川:なるほど。よく考えましたね(笑)。
手賀大橋のシーンで、狩山陸はこんなセリフを言っています。
「ここから見ると連続して橋が連なってるのが見えるじゃん。このアーチ橋っていうのは、ほらみてよ水面、水面にこうやって映り込むことによってこの風景に溶け込むのよ。いいなぁ、俺もこういう橋やってみてえなぁ」
ミニ解説
アーチ橋が水面に反射して鏡のように姿を映し込むと、めがねのように見えることから、日本各地に眼鏡(めがね)橋と呼ばれる橋がある。ただし、水面が波立っていない無風状態である必要があるので、水面に反射した美しい光景を見る機会は限られている。実際にドラマのシーンでも、残念ながらアーチが水面に反射した状態を撮影できなかったようだ。
手賀大橋は手賀自然公園内に架設されたこともあり、水鳥のはばたきをイメージし景観に重点をおいた修景(※)設計がなされています。このあたりも、橋オタク狩山部長の心を揺さぶったのかもしれませんね。
※修景とは、周囲の景観に溶け込むよう自然環境に配慮して整備すること