夫人の「美貌」が大統領を側面支援

 そもそも、尹大統領にとって金夫人は伴侶以上の存在だ。大統領選挙の頃からその美貌ぶりが注目され、彼女の名前の「建(コン)」に「愛(サラン)」を結び付けた「コンサラン」という名称のファンクラブが結成された。尹大統領の就任直後の5月には、会員数は9万人にのぼった。

金夫人がポーランドを訪問した際のファッション=2023年7月(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 ブームに沸いたのは一部の韓国人に限られたが、ある程度は尹大統領のイメージアップに貢献した。尹大統領と金夫人の日常のやりとりが注目され、妻と愛犬に見送られて出勤する尹大統領の様子までテレビで紹介された。尹氏はそもそも僅差で当選した大統領ではあるが、就任直後の支持率は51〜53%もあった。

 金夫人が注目されたのには、美貌以外にそれなりの理由がある。1つは、ファッションセンスだ。

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リトアニア、ポーランド歴訪に出発する金夫人=2023年7月(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 以前の韓国大統領夫人は重要な席ではほぼ確実に伝統衣装での韓服を着用するが、彼女の場合はもっぱら洋装だ。海外訪問の際に現地で活躍する韓国人との食事会の席では韓服を着るものの、金夫人の現代的で洗練されたファッションは注目の的となった。

 特に印象的だったのは、2022年にスペインのマドリッドを訪れた際の衣装。韓服を洋風に仕立てたグリーンのチマ(スカート)に黒いブレザーを合わせた斬新なスタイルだった。

2022年6月、在スペインの韓国人との会合に出席した尹大統領(右)と金夫人(左)。この時のファッションが話題に(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 2つ目は、「庶民派」であることだ。15歳で父親と死別し、そのあとは母親の手で育てられた。私の住む地域は彼女が高校時代を過ごしていたあたりなので実感できるが、決して、特別な家柄の人ではない。

 美術関係で博士号を取得している。そのため、ファーストレディとなってからも、文化や芸術関係の交流に携わり、外遊のときなどは外交では優先順位の低い韓国文化のセールスを忘れることはなかった。