躍進した「タマネギ男」、今後の展開は未知数

 選挙大敗を受けて、与党からは不満が噴出している。首相を含む大統領執務室の参謀たちがそろって辞表を提出するなど、日本で「親日」と評判の尹政権は、まさに壊滅の危機にある。

ベトナムを訪れた尹大統領と金夫人(一番左)=2023年6月(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 ただ、野党側も今回の選挙で「勝利」したとは言い難い。2027年に予定される次の大統領選に向けて、勝利の道筋を立てられたとは言い切れないからだ。いわば、総選挙は与党の一人負けで、野党にも勝者はいない。

 最大野党・共に民主党の李在明氏は、弾劾可能なレベルまで議席を確保したかったはずだ。もちろん次期大統領の座を狙うだろうが、曺国氏の復活で実際は難しいだろう。李在明氏の存在感は、時間が経つほど薄くなっていくと予想される。

 他方、曺国氏の今後も未知数である。今回の選挙では、曺国氏が新たに立ちあげた祖国革新党は、これまで共に民主党の支持基盤だった韓国南西部の全羅道において、比例代表の得票率で第1位となった。全国でも2位の共に民主党に僅差まで迫った。

 曺国氏の疑惑をめぐる有罪判決をものともしない躍進ぶりだ。ただ、今回獲得した議席数は12議席で、次の大統領選で勝利するためのハードルはまだ高い。