- 4月10日の韓国総選挙が近づく中、韓国では与党が大敗し尹錫悦(ユン・ソンヨル)大統領が弾劾されるシナリオが注目されている。
- 最大野党「共に民主党」の支持率が低下する中、台風の目となっているのがチョグク(祖国)革新党を立ち上げた「玉ねぎ男」こと曹国(チョ・グク)氏だ。
- 曹氏は疑惑まみれながら勢いがあり、野党全体で弾劾に必要な議席数を確保する可能性もゼロではない。そうなれば、尹政権の下で改善してきた日韓関係は再び暗転する。(JBpress)
(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)
このあいだテレビをつけていたら、尹錫悦(ユン・ソンヨル)の弾劾が話題にされていて、思わず目を丸くした。今月10日に国会議員選挙を控えていて、そのとき、野党が200議席を獲得すれば、弾劾も現実的になるというのだ。
日本にとって尹大統領の功績は、日韓関係の改善らしい。そのおかげで、日本人の韓国への印象は、「良い」と答えたのが37.4%で、1年前より7%も上昇したという。一方で、韓国人の日本への印象が「良い」と答えたのは28.9%で、1年前より2%ほど減少しているのとは対照的だ*1。
韓国社会で日本買い旋風が起ころうが、対日感情はそう簡単に好転しない。それどころか、選挙戦が始まったばかりで「弾劾」という言葉が飛び出すほど、日韓関係を「改善した」とされる尹大統領は国民に嫌われているのだ。
確かに尹大統領の現状は厳しい。とはいっても、与党は弾劾されるほど議席を失うのだろうか。
弾劾が可能になるには、与党が選挙で敗北し、定数300議席のうち、野党が200議席以上を獲得しなければならない。もちろん、最近支持率が低下している最大野党、共に民主党だけではその数に達する見込みはない。
そこで鍵を握るのが、チョグク革新党という政党だ。3月29日に発表されたギャラップによる世論調査での支持率は、与党の国民の力が37%、最大野党の共に民主党が29%、チョグク革新党が12%だった。