(英エコノミスト誌 2024年4月20日号)

Z世代はスマホの害を受けやすいと言われているが・・・(natureaddictによるPixabayからの画像)

貧しく不安な人生を送る運命にはない。

 大きな集団が続々と成人して台頭している。全世界で、1997年から2012年にかけて約20億人が生まれ、「Z世代」を形成している。

 米国と英国ではZ世代が人口の2割を占めており、ベビーブーマー世代(1940年代の終わり頃~1960年代の初め頃に生まれた世代)に匹敵するシェアを誇る。

 インドやナイジェリアではZ世代の方がはるかに多い。

 世代にはそれぞれシンプルな説明がつけられる。

 例えば、ベビーブーマーは第2次世界大戦後の豊かさのなかで育ったとか、ミレニアル世代(1980年代~1990年代半ばに生まれた世代)は2007~09年の世界金融危機に影響を受けたといった具合だ。

 Z世代については、スマートフォンのせいで惨めな思いをするようになった、これからも年長の世代より暗い人生を歩むことになるというのが一般的な見方だ。

世界中で渦巻くZ世代悲観論

 西側諸国の世論調査では、今の子供たちはその親の世代よりも貧しい暮らしを送ることになるという回答が増えている。

 若者自身も、住宅を買うのに苦労するかもしれないとか、気候変動による危険が迫ってくるのではないかなどとあれこれ心配している。

 社会科学の学者たちは、人格形成期に「ドゥームスクローリング(スマホで悲観的な情報ばかり読むこと)」に時間を費やし、周囲から取り残される不安に苦しめられたZ世代は心配と抑うつの感染症にかかってしまったと気をもんでいる。

 米英の政治家は16歳未満のスマホ禁止やソーシャルメディア利用規制の導入を議論している。親や学校の教師が子供のスマホ利用時間を監視しようとする動きは、世界中どこに行っても見受けられる。

 いずれも、Z世代について楽観的になるのを難しくする力を秘めている。

 だが、世界中を見回せば、そしてもっと多様な物差しを当てはめれば、この世代が苦労する運命にあるとはとても言えないことが分かる。

 多くの面で、Z世代はなかなかよくやっている。