1.登場した2種類の新型戦車戦力の実態
北朝鮮が公開した戦車は、2種類だった。
一つは、2020年10月の軍事パレードに初めて出現した米国の「M1エイブラムス」に酷似の戦車である。
パレードに参加したのは9両だったが、今回訓練に参加したのは7両(2両は整備中か?)だ。
性能については、米欧の戦車に比べてどうなのか今のところ不明だ。
写真1 北朝鮮保有のM1酷似の戦車
もう一つは、ロシア製の「T-72戦車(大転輪が6軸)」と同じものだ。
北朝鮮が保有している戦車の種類と数量は、最新のミリタリーバランス2023によると、「T-33」「T-54/55(大転輪が5軸)」「T-62(大転輪が5軸)」型戦車が約3500両であった。
T-72型戦車は、これまでの記録にもパレードにも登場したことがなく、新たに取得したものだと考えられる。
北朝鮮としては、2番目に新しいものである。どこの国から取得したかは謎だ。
写真2 北朝鮮保有のT-72戦車
この型の戦車は、ロシア軍が使用する戦車(T-72・80・90)の中では、最も旧型のもので、ロシアは大量に保有していたが、ウクライナ戦争では、米欧の対戦車兵器にボコボコにやられている。
M1エイブラムスに酷似の戦車もT-72戦車も、演習に初めて登場したことから、これらの戦車は模造品ではなく実際に射撃できる本物のようだ。
M1酷似の戦車が本物で、T-72を導入したことを日米韓に見せたかったのが、この演習を公表した金正恩氏の最大の狙いだったのだろう。