ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、年末恒例の記者会見で、「ロシアの目的が達成されれば、平和が訪れる」と、述べていた。
つまり、「ウクライナが武装解除し、ロシアに占領されロシアの言いなりになれ。そうすれば戦闘が終わって、人々がミサイル攻撃などで死亡することはないという平和が訪れる」ということを意味している。
白旗を揚げて、ロシアの配下に入れと言うのだ。
占領されれば、ウクライナの富や人材はすべてロシアに持っていかれ、ブチャで行われたような残虐な行為を受ける。人々は自由に発言できず、強制労働させられることになる。
これは、これから軍事力増強に力を入れ、ウクライナの各戦線においてロシア軍がウクライナ軍を打ち破り、首都キーウ、その次は西端のリビウに攻め込み、占領下に置くことができるという、完全な勝者が敗者に向けて言う内容だ。
だが、ロシアはこのようなことを言えるほどの勝利は手にしておらず、ウクライナもこれらを受け入れなければならないほど敗北してはいない。
このような発言をするのは、軍事面以外にも、ロシア国内では安定的な経済・社会活動ができていて、全く問題はないという自信の表れからきているからだろうと、本来であれば考えるのが道理である。
だが、ロシアの軍事作戦も国内経済についての発表も、ロシアの希望的観測であり、ウクライナとそれを支援する欧州へ精神的打撃を与えようとするプロパガンダではないかと思う。
実態を隠して、ロシアは強い、ロシア国内は普段通りだと見せようとしているようにしか思えない。
では、ロシアの国民生活の実情はどうなのか。
それについては、正確な情報は伝わってこない。また、全体像も分からないのが現状である。とはいえ、国内の特異な事象から見えてきているロシアの実情があるので考察してみたい。