筒石駅は2面2線の構造をしているが、トンネル断面を小さくするために約140mのホームが互い違いにずらして配置されている。次の写真は少し明るめに補正しているが、実際にはもっと薄暗く、照明の灯る場所だけが暗闇に浮かび上がる。

ホームと待合室の間にドアがある理由

 ホームの中央付近に、ステンレスの取っ手が付いた引き戸がある。このドアの向こうが下りホーム用の待合室だ。ドアも取っ手も水滴がしたたり落ちるほどの結露だ。

 待合室の片側にはプラスチックの椅子が置かれ、逆側には警備用機器などのボックスが並ぶ。おこもり感のある秘密基地のようで、なんだかワクワクする。

ドアの向こうが下りホームドアの向こうが下りホーム

 なぜホームと待合室の間にドアがあるのか。ドア横に「通過列車は相当なスピードで入ってきます」という注意書きがある。トンネル駅の大きな特徴は、特急などの通過列車の風圧が強烈なことだ。2024年3月現在、筒石を通る定期列車はすべて各駅停車だからといって安心できない。この路線は貨物列車やイベント列車も通るのだ。

 待合室内の温湿度計は、室温20℃、湿度90%を示している。この日の外気温は30度前後だったので、10度ほど低い。あとで説明するように、これが重要。ただ湿度が異常に高いので、半袖でもそれほど寒さは感じない。