音声メディア市場は拡大傾向だが
日本で初めてのラジオ放送が行われたのは、1925年のことでした。それから99年。日本のラジオを支えてきたAM放送は大きな転換期を迎えたことになります。
全国のラジオ番組をネットで聴取できるアプリ「radiko」の普及により、テレビのTVerと同様、ラジオも好きな時間に好きな番組を聴けるようになりました。YouTubeで音声を配信しているラジオ局も珍しくありません。日本国内だけでなく、世界のラジオ番組もネットで楽しむことができます。
受験勉強のラジオ講座や深夜番組を楽しみ、ヒット曲をラジオ番組で覚えた中高年世代には隔世の感がありますが、PodcastやVoicyの浸透に見られるように、音声メディア市場そのものは近年、拡大傾向が続いています。
そうした事情を考えると、AM放送が廃止になっても、不便や不満を感じる人はそう多くないと思われます。
しかし、長距離を走るプロのドライバーや深夜の職業に従事している人たちなど、AMラジオに支えられている人は少なくありません。災害時の情報提供をどうするかという問題も含め、今後はさまざまな意見が出てきそうです。
フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。