TBS『不適切にもほどがある!』番組HPより

「市郞の精神主義についていけない若者は見るのをやめた」はウソ

 TBS『不適切にもほどがある!』(金曜午後10時)が人気だ。その理由を解き明かしたい。

 まず、どれくらい人気があるのか。4年前からテレビ界の基準値となった個人視聴率(4歳以上の全体値)を見ると、同局『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』、日本テレビ『となりのナースエイド』に次いで3位。調査対象を13歳から49歳に絞ったコア視聴率ではトップである。

 このドラマの舞台の約半分は主人公・小川市郎(阿部サダヲ)が暮らす昭和61年(1986年)だが、個人視聴率をより細かく見ると、最も熱心に観ているのは昭和期を全く知らないF1層(20~34歳の女性)である。4%前後の極めて高い個人視聴率を記録している。

「市郞の精神主義、全体主義についていけない令和の若者は脱落した」という説がSNSなどの一部にあるが、それは昭和世代による推論に過ぎないのではないか。少なくとも多数派の意見ではないことがコア層、F1層の支持率の高さから分かる。