北陸電力志賀原発=2022年12月撮影(写真:共同通信社)

(科学ジャーナリスト:添田 孝史)

大地震と原発、日本に集中

 地震の発生場所と、原発の位置を重ねあわせた地図(地図1)を見ると、「地震の多いところに原発があるのは日本だけじゃないか」と驚く人が多いでしょう。

【地図1】M7以上の大地震が起きている場所と原発の位置
地震は深さ50キロより浅いところで1900年以降に発生したもの。米地質調査所のデータから。原発の位置は国際原子力機関(IAEA)のデータから
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 原発が一番多いのは米国(93基)ですが、地震の多い西海岸には2基しかありません。第2位のフランス(56基)で大地震は皆無です。第3位の中国(55基)でも、原発が集中している海沿いでは、大地震はほとんど起きていません。台湾も地震が多いですが、残る原発は2基だけです。

 世界ではM7.0以上の地震が平均年18回発生し、うち日本とその周辺で3回起きています*1。その日本で、12基の原発を再稼働させ、さらに5基も審査を終えて、地元の合意次第で動かそうとしているわけです。

 1月に起きた能登半島地震(M7.6)では、北陸電力の志賀原子力発電所のことを心配した人も多いことでしょう。

 志賀原発の揺れは、北陸電力が想定していた揺れ(基準地震動)を一部の周期で超えました*2。2011年の東京電力の事故後、運転は止まっていて核燃料も冷えていたので大事故にはなりませんでしたが、変圧器の故障で外部電源の一部は使えなくなりました。多重の安全策の一部を失い、安全のレベルは下がっています。

*1  気象庁 よくある質問集 地震について

*2 原発は施設や設備によって揺れやすい周期が異なる。たとえば排気塔のような構造物は長い周期でゆらゆらと揺れやすく、がっしりした低い建屋はガタガタと短い周期で揺れやすい。基準地震動は、その周期別に最大の想定を定めている。
原子力規制庁 令和6年能登半島地震における原子力施設等への影響及び対応 2024年1月10日 p.4