(写真:ロイター/アフロ)

 米アマゾン・ドット・コムは、2040年までに事業活動からの二酸化炭素(CO2)排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」達成を目指しており、19年に「The Climate Pledge(気候変動対策に関する誓約)」を立ち上げた。最近は、その一環として人工知能(AI)を積極的に活用している。

 同社のワールドワイドサステナビリティー担当副社長であるカラ・ハースト氏はこのほど公式ブログへの投稿で、「AIと機械学習(マシンラーニング)は、地球が求めるスピード、規模、緊急性をもって気候変動対策の目標を達成するために役立つ」と説明している。

AIで梱包資材を削減

 同社が、環境など持続可能な事業活動で注力している分野の1つは梱包(こんぽう)だ。同社は19年に「Packaging Decision Engine(パッケージング意思決定エンジン)」と呼ぶAIモデルを導入した。これは、商品の形状、耐久性、顧客からのフィードバックを考慮し、最適な梱包手段を決定するというものだ。ハースト氏によると、これにより、アマゾンでは15年以降、200万トン以上の梱包資材を世界で削減した。他の梱包テクノロジーとの相乗効果があったという。

 アマゾンは自社のロゴ入り段ボール箱を使わず、メーカーの商品パッケージのまま顧客宅に届ける取り組みも進めている。その一環として、追加梱包なしで輸送を実現するための商品パッケージを研究している。米ワシントン州シアトル本社近くの施設では、AIを活用してシステムの改良を図った。同施設では現在、様々な商品パッケージを対象に計19種の加圧、振動、落下試験を実施している。

返品と廃棄物を削減

 アマゾンは返品や食品ロスによる廃棄物の削減にも取り組んでいる。返品対策としては、商品の箱や袋にへこみや破れ、こすれ痕がないかどうかを確認している。アマゾンでは、棚出し・梱包段階の商品確認作業を自動化している。