(写真:Stanislav Kogiku/アフロ)

 アマゾンは自社のロゴ入り段ボール箱を使わず、メーカーの商品パッケージのまま顧客宅に届ける取り組みを進めている。米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米国全土で何百万件もの注文が、追加の梱包(こんぽう)なしで顧客の玄関先に届けられているという。

梱包・イノベーション担当副社長が主導

 目的は梱包・包装資材や配送コストの削減。同社が推進している配送プロセス刷新計画の一環で、これまでの取り組みを一歩先に進めたものだという。

 顧客は毎週、大量の段ボール箱を受け取っては処分している。アマゾンのアンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)は、こうしたことにうんざりしている顧客にアピールできると期待しているという。

 アマゾンは2023年、同社初の梱包・イノベーション担当副社長としてパット・リンドナー氏を採用した。同氏は、「多くの上級リーダーが認識しているのは、これがますます重要になっているということだ。当社は梱包の分野で次のイノベーションに進む必要がある」と述べている。

 アマゾンによると、現在は電子商取引(EC)商品の約11%を、追加の梱包をしない、同社が「商品パッケージで配送(ships in own container)」と呼ぶ状態で届けている。顧客は、注文時に追加の梱包を希望するかどうかを選択できるという。

 ただ、これには課題が残っているとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。例えば、アマゾンは、そのまま出荷できる強度がある商品パッケージを開発してもらうよう、メーカーを支援する必要がある。その際には、本来の目的を損なうような追加の素材を用いないことが重要となる。そこで、アマゾンはメーカーなどとの強力な関係を活用して強度の改善を促している。加えて、省梱包化した出品者に対し報奨金を支給している。

物流効率化策が省梱包化に寄与

 一方、アマゾンはこの取り組みを、物流の効率化に向けた改革の次のステップと位置付けている。同社はかつて米国内の配送網を「ハブ・アンド・スポーク」と呼ばれる、集中型の全国モデルで運営していた。顧客が望む商品は例えコストがかかろうと全米規模で移動していた。だが過去1年でこの方式を改め、リージョナリゼーション(地域化)を進めた。