台頭する藤原道隆は父を超えられるか、“キャラ変”にも注目

 変化と言えば、今回の放送では道長の兄で井浦新演じる藤原道隆が、リーダシップを発揮している。父の後継者であることをいよいよ意識し始めたのだろう。

 宮中で勢いを増す高橋光臣演じる藤原義懐に対抗するため、「漢詩の会」を催して、若い貴族たちを取り込むことに成功する。

 きっかけは、求心力を高めようとする藤原義懐の動向を、道長が兄に知らせたためだが、「漢詩の会」を提案したのは、道隆の妻で板谷由夏演じる高階貴子である。実際にどんな女性だったかというと、身分はさほど高くなかったが、漢才や詩歌の才に優れていた。『小倉百人一首』では「儀同三司母」として知られる歌人である。

 道長が兄の道隆のもとを訪れたとき、道隆は夫婦の時間を楽しんでいた。遠慮する道長の様子を見て、道隆が「貴子との仲睦まじさは常のことじゃ」と口にする場面があったが、確かに夫婦仲はよかったらしい。2人の間には、三男四女と7人の子どもが生まれている。

 鎌倉中期の説話集『古今著聞集』によると、父の高階成忠は当初、娘が道隆と結婚することに乗り気ではなかったらしい。だが、あるとき、道隆が去り行く背中をみて「必ず大臣に至る人なり」と考えを改めたという。

 兼家が出世するに連れて道隆も引き上げられて、兼家の死後は後継者になることを思えば、その予感はあたったといえるだろう。それどころか、道隆は兼家の死後、父に負けないほど、強引に身内を出世させていく。さらなる“キャラ変”にも期待できそうだ。