仕事と家庭の両立に苦労している人は多い。特に子育て中は怪我や病気の看病も必要となる。厚生労働省は、子供が病気になった場合に利用できる「看護休暇」の対象を現在の小学校入学前から小学校3年生までに延長する方針で、今国会に提出する育児・介護休業法の改正案に盛り込む。子育て中の「残業免除」の対象も3歳になるまでから小学校入学前まで引き上げる。対象拡大で利用は広がるか。

(杉原健治:フリーライター)

「子の看護休暇」制度とは?

「子の看護休暇」制度とは、労働者の子供が病気や怪我をした際に取得できる育児・介護休業法で定められた法定休暇だ。子供の病気や怪我以外にも、子供の予防接種、健康診断の付き添いなども対象となるほか、正規雇用の従業員だけでなく、アルバイトやパート、契約社員など期間に定めのある従業員でも同制度を利用できる。

 これまで「子の看護休暇」制度では小学校入学前までの子供が対象とされていたが、今回の改正案では、対象を小学校3年生までに延長する方針だ。さらに、感染症に伴う学級閉鎖や卒園式・入学式などの行事への出席でも利用できるようにする。これに伴い、制度の名称を「子の看護等休暇」に改める方針だ。

出所:厚生労働省
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 看護休暇の取得率はこれまであまり高くなかった。厚生労働省によると2020年4月1日から2021年3月31日までの間に「子の看護休暇」取得者がいた事業所の割合は、小学校入学前の子供を持つ労働者がいる事業所のうち28.3%。取得者がいた事業所のうち、男女ともに「子の看護休暇」を取得した事業所は27.4%、女性のみ取得した事業所は58.2%、男性のみ取得した事業所は14.4%だった。

 理由の一つに、制度を利用できるのは子供が小学校入学前までに限られるという、使い勝手の悪さがあるとされていた。この点は今回の制度改正で対象が小学3年生までに引き上げられるため、かなり解消される。

 だが、課題は依然としてある。制度を利用して取得できる休暇の日数は、対象の子供が1人の場合は年間5日、2人以上の場合は年間10日までと限られている。また、休暇中の給与の支払いについては法律で規定されていないため、中小企業を中心に無給の会社も少なくない。そのため、子供が病気の際には有給休暇を取得するケースも多い。