薄給だった「家電王子」時代
Cさんは今の仕事に就く前、家電量販店で販売の仕事をしていた。
「やりがいという意味では、今より楽しかった。自分も成長できるし、お客さんが喜ぶ姿を直接見られるから」
Cさんの得意分野はエアコンとテレビだった。
「お客さんは、店員の説明を聞きたい人と、自分の話を聞いて欲しい人にわかれます。そこを見極めることがポイント」
Cさんは独自のテクニックで、高齢者や主婦から人気の「家電王子」になった。
「主婦は夫や子どものグチ、高齢者は健康の話が多く、それを聞きながら相手のニーズを探ります。店員の力量や人間性が試され、毎日が勝負の連続です」
そんな駆け引きをしながらも、人あたりがよくさわやかなCさんは、営業成績でトップになり、店長に昇進した。
「お客さんが『また買いに来たよ』と来店してくれるのが嬉しかった。『この店員さんが親切だったから』と、お客さんの紹介で別のお客さんが来てくれることもありました」
しかし、待遇はよくなかった。
「店長になり給料が少し上がりましたが、休みが全然取れなくて、割に合わなかったです。疲弊して今の仕事に転職しました。今は楽で給料もいいですが、感謝もされませんし、やりがいは皆無です」