使える接待費は月100万円
建設業界の高額接待はたびたび問題になるのに、なぜなくならないのか。建設業界に詳しい経済記者はこう話す。
「公務員を酒食などで接待するのは違法だが、民間企業同士の接待に法的な縛りがあるわけではない。どこのメーカーから買っても大差がないような資材の場合、差別化要因は価格か、人間関係にどうしてもなりがち。ただ、接待と飲み会の境界線はあいまいで、あうんの呼吸みたいなものだと思う」
「あうんの呼吸」、確かに「接待しますから、ウチの商品を買ってください」とわざわざ言わないだろう。
Cさんも、取引先との付き合いを絶やさないことが任務だ。仕事の6割は、外回りと接待。Cさんの1日は、午前にデスクワークを簡単に済ませると、午後は外回りに出かける。
「外回りは世間話をしに行くだけです。相手はゼネコンの購買部の担当者、中小の建設会社の社長や現場監督などで、みんな50~60代以上のおじさん。話題は大谷翔平、ギャンブル、夜のネーちゃんの話が多い」
「この間の女の子、よかったよぉ」とニヤけるおじさんの話を、笑顔で受け流す午後のひととき。その後は月に数回、おじさんを連れて夜の銀座へ出かける。一人当たり2~3万円使うのはザラだという。
「僕一人が使える接待費は月100万円。会社は『普段からしっかり接待して恩を売れ』という方針です。すぐに契約につながらなくても、将来への投資になればいいと」
ただ、確実に取りたい案件が出ると大宴会を催す。例えば、Cさんが先輩を手伝って、ある建設会社から億単位の発注を取った時の接待はこんな感じだ。
「まずは焼肉屋を貸し切り、そこにキャバクラのキャスト、およそ20名をセッティングする。いわゆる同伴ってやつです。みんなドレス着ていて、すごい光景でした」
そこへ建設会社の社長、現場監督、現場の若い作業員などを案内する。キャストはお酌をしながら肉を焼く、まさに酒池肉林だ。
「その後は揃ってキャバクラへ移動し酒宴。さらにアフターもあり、近所の小料理屋へキャストとともにおじさんを連れて行く。この日、100~200万円の領収書って初めて見ました」