(朝比奈 一郎:青山社中筆頭代表・CEO)
実績上げても岸田政権の支持率が上がらない理由
岸田政権の支持率が上がりません。昨年後半からジワジワと支持率を下げ続け、既に各種調査では、いわゆる青木の法則と呼ばれる危険水準(内閣支持率と自民党支持率の合計が50を割る水準)に達してしまっているものも出てきていますが、なかなか上がる要素が見当たらないのが現状です。
そんな中、追い打ちをかけるように、年始に能登半島を大震災が襲い、死者が3桁に達し、まだ増える様相です。羽田空港でも、関連して痛ましい事故が起こりました。海保機の方で尊い5名の命が奪われてしまいましたが、日航機の方は幸いにして死者は出ずに済みました。
特に震災の方は、初動の遅れということも批判されはじめており、政府批判も高まりつつあります。列島中が休んでいた元日の悲劇ということもあり(羽田空港の事故は1月2日)、やむを得ない面はありますが、一つの目安とされる72時間を過ぎて救出される人も出ていることから、もう少し早くがれきの下の方々の救助が何とかならなかったのか、とか、これからの避難生活の支援がもう少し手厚くできないのか、など、政権批判も強くなる傾向にあります。
震災対応はともかく、政権発足からの日本の数々の危機に際しては、政権に近い人からは、「意外とちゃんとやっていて、諸課題に向き合い、ひとつひとつ誠心誠意、対処している」という肯定的な評価が聞こえてきます。実際、安全保障関係の対応(安保三文書改訂や防衛費増)やCOP28への対応(措置がなされていない石炭火力発電所の新設はしないと表明)、少子化対策(「こども未来戦略方針」を策定。年間で新たに3.8兆円の予算を投じるということで、予算的には「異次元」とも言える)、要望が強かったライドシェア解禁も、今年4月から一部実施することも決めました。
他にもあります。物価や賃金の上昇をふまえたマクロ経済スライドの発動を決め年金の支給額を若干ながら引き上げました。また原発の再稼働を政治決断で決めたことにより、上昇していた電気料金にいくらかブレーキをかけることもできています。これらは岸田政権の“成果”と評価してしかるべきものです。