ドイツのマクドナルドの労働力構成
ドイツのマクドナルドでは、約1200店舗で8000人以上のスタッフを募集している(2022年9月初頭時点)。募集する店舗の規模やタイプ・立地ごとに、スタッフの人数・労働時間数、人の集まり方などが異なる。そのため、店は現在の人手・シフトの状況と今後の見通しに合わせて、フルタイム・パートタイム・ミニジョブのどの分類で人を募集するかを決めている。
例えばベルリン市のA通り店ではフルタイムを募集、B門店ではミニジョブ、C駅前店ではパートを募集中といった具合である。割合でみると、フルタイムを募集している店舗が約3割、パートタイムが4割強、ミニジョブが3割弱となっている。募集するスタッフの種類も店の状況に合わせて異なる。「店内スタッフ(キッチン・カウンター・ドライブスルー)」が圧倒的に多いが、「デリバリー+スタッフ」、「接客担当専門+スタッフ」などの募集がある店もある。
ドイツのマクドナルドは店舗運営に必要な労働力を次のように確保する。まず店舗側は、店の事情に合わせて不足しているシフト人員を働く時間数の分類に応じて計算し、3つの時間形態のいずれかで募集をかける。働く側は、自分の個人的・家族的事情に合わせて働く時間を考え、自分に合った時間数の働き方、店の場所を選択する。これにより店舗にとっても働く側にとっても都合がいい労働力確保が実現されるわけである。
ここには正規・非正規の区別はない。全員が無期雇用の正社員である。フルタイムであろうと週30時間や週10時間であろうと、同じ給与が(時間割合で)支払われ、同じ処遇が提供される。働く時間の長さが違うだけで待遇は等しい。こうした条件のもとでシフト調整を行うことで店舗が運営されている。店舗内部の労働力構成も日本とは全く異なる。ドイツ飲食業労働組合(NGG)によると、店にもよるが、平均して店内スタッフの8割は、フルタイムで働く正社員である。日本の店内では、正社員が店長1人か、せいぜいもう1人くらいであることとは対照的である。