本稿は、企業の「働きがい」に関する調査・研究を行う「Great Place To Work® Institute Japan」代表の荒川陽子氏の著書『働きたくなる職場のつくり方』(かんき出版)から一部を抜粋・編集してお届けします。前編では、「働きがい」の観点から、多様性のある職場が求められる理由を解説します。ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)促進のメリットや企業に求められる配慮とは何でしょうか。
■前編 なぜ、多様性のある職場が求められるのか(今回)
■後編 ジェンダー平等の働きたくなる職場
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多様な価値観のある職場の課題
D&Iが進んでいる職場は、多様な属性や背景を持つ人材で構成されています。加えて「どのように働きたいか」「何に働きがいを感じるか」などの考え方もそれぞれ異なります。たとえば「新入社員」「育児中の従業員」「外国籍の従業員」「再雇用された60代の従業員」がひとつのチームを構成していると想像してみてください。
「異なるキャリア」「モチベーション」「バックグラウンド」「労働観」を持つ従業員らが円滑なコミュニケーションを取りながら、会社が掲げる目標に向かっていくためには、多様な考え方を束ねるだけでなく、「違いを認め合うカルチャー」を醸成していく必要があります。
■「見た印象」と「本人の望む働き方」は、同じとは限らない?
働きがいとは決して画一的なものではなく、どこに見出すかは十人十色です。多様性のある職場では、互いの「コンテクスト」や「働きがい」を理解し合うことが求められます。
「プライベートの充実よりも、高い報酬を希望する」という人もいれば、「報酬の高さよりも、労働の負荷を軽くしてほしい」という人もいます。また、言語化できずにいる人や、周囲に伝えることができていない人もいるでしょう。気を付けたいのは周りから見た印象と本人の望む働き方は同じとは限らない点です。