特に山本にはかなりの“ぞっこん”で、キャッシュマンGM自らが今年9月上旬にわざわざ来日。その9月9日に山本は対ロッテ戦(ZOZOマリンスタジアム)で2年連続のノーヒットノーランを達成し、キャッシュマンGMに強烈なインパクトを与えていた。

自身2度目のノーヒットノーランを達成し、喜ぶ山本由伸投手(左)。この試合をヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMは現地で観戦していた=9月9日、千葉市のZOZOマリンスタジアム(写真:共同通信社)ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMが視察に訪れている中、自身2度目のノーヒットノーランを達成し、喜ぶ山本由伸投手(左)=9月9日、千葉市のZOZOマリンスタジアム(写真:共同通信社)

 その流れもあったからなのだろう。今オフにヤンキース側は早々に大谷獲得を諦めると、あらためて山本一本に照準を定めて動き、チームのレジェンドOBで現ヤンキースGM付特別アドバイザーの松井秀喜氏を引っ張り出してビデオメッセージを面談の席上で公開し“口説き材料”に用いるなど、あの手この手で契約にまで結び付けようと試みていた。

年俸換算ではドジャースを上回る内容を提示するも

 ヤンキースが山本に提示したのは10年3億ドル(約420億円)とみられ、これは年俸換算にすればドジャースを上回る契約だったが、本人の心をつかむことはできなかった。

「意中の恋人」とでも評すべきヨシノブ・ヤマモトを逃したキャッシュマンGMをはじめとするヤンキース側のフロント陣、そして地元NYのファンのショックは想像以上に大きい。

 今季15勝4敗、リーグトップの防御率2.63でサイ・ヤング賞に輝いたチームエースのゲリット・コール投手と並ぶ「将来的な2枚看板になる可能性」までNYメディアの間で指摘されていたほど、山本への下馬評は高かった。そんな山本を大谷に続いて、またしてもドジャースに「奪われた」ことでヤンキース周辺では検証作業も行われ始めている。