低賃金、やりがい搾取で働く人を追い詰めるブラックな職場。その一方で、ムダで無意味なうえに有害、なのにしっかり給料がもらえる「クソどうでもいい仕事(ブルシット・ジョブ)」が存在する。今やホワイトカラーの半分以上が「クソどうでもいい仕事」ではないかという疑惑さえある。日本にはどのようなブルシット・ジョブがあるのか。現場からの告発をリポートする。(若月 澪子:フリーライター)
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モチベ最低のエリート集団
「私がやっていることは、誰のためにも、誰の役にもたっていない『新規事業開発ごっこ』。まさにクソどうでもいい仕事です」
そう早口でまくし立てるのは、自動車部品を製造する創業50年以上の東証プライム企業に勤めるエンジニアのA子さん(30代後半)。
A子さんが所属するのは「新規事業開発部」。「新規の事業を開発」だなんて、キラキラしたエリート集団ぽい。めちゃくちゃ世のため人のために働いていそうですが。
「とんでもない!ハッキリ言って、ただの寄せ集め集団ですよ。意識は高いのに、モチベーションは最低ランク。というのも、ウチのクっソな企業体質のせいで、そういう集団になり下がっているのです」
A子さんは新規事業を企画する10人程度のチームのメンバーの一人。彼女の毎日は、スタートアップ企業やコンサルとの打ち合わせ、展示会への参加、調査と企画書の作成、管理職への提案会議という日々だ。
一体、どこが「クソどうでもいい仕事」なのだろうか。