悲願だった非課税期間の「恒久化」

 JBpressの「やさしく解説」でも書かれていますが、新NISAの制度上のポイントは3つあると思います。それが、「恒久(無期限)化」「一元化」「生涯投資枠」です。順を追ってみていきましょう*2

*2「新NISA」とは?非課税で資産運用、24年から投資枠が総額1800万円に拡充


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 まず、「恒久化」は、非課税で運用できる期間が無期限になる、という意味です。つまり、生涯を通じて投資によって得た利益に税金がかかりません。投資できる金額には上限がありますが、多くの人にとっては十分な額です。投資枠については、後ほど解説します。


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 実は、岸田政権が恒久化を決定した際、金融業界の関係者はとても驚きました。生涯を通じて長期の資産形成を目指すには、非課税期間に制限がないことが望ましいのは言うまでありません。ただ、NISAの制度設計をめぐる過去の経緯を振り返るとハードルが高いと思われていたからです。

2022年5月、岸田首相は英金融街シティで「資産所得倍増計画」をぶち上げた(写真:共同通信社)

 NISAができた経緯を少し振り返ってみましょう。
 
 NISAが誕生したのは2014年。それまでは、投資によって得た利益にかかる税金(所得税+住民税)には10%の軽減税率が適用されていました。それが2013年末に廃止されて20%課税されることに伴い、緩和措置が検討されました。そのなかで出てきたのが、個人の資産形成を後押しする目的で上場株式や投資信託などへの投資を非課税にする、という考え方でした。

 参考にしたのがイギリスの「ISA(個人貯蓄口座)」で、当初は「日本版ISA」と呼ばれていました。これが、日本の「N」をとって「NISA」と呼ばれるようになります。