ニーズに合わせ賞金は大型にシフト
宝くじの売り上げは、景気低迷や売り場の減少などを背景に2005年度(1兆1047億円)をピークに減少傾向となっています。一方、社会保障関係費の増加などで地方財政が厳しくなる中、宝くじによる財源確保の重要性は高まっています。
そうしたことを背景に、賞金の大型化が進んでいます。賞金を大型化することで一獲千金に憧れる消費者の欲望を刺激して売り上げを確保し、厳しさを増す地方自治体の財政にもっと役立てようというわけです。2012年2月の「東日本大震災復興支援グリーンジャンボ宝くじ」では1等3億円、前後賞合わせて5億円に到達。同年の「サマージャンボ宝くじ」でも1等賞金が4億円に、翌年2013年の「年末ジャンボ宝くじ」で1等賞金5億円、2015年に1等7億円、1等前後賞合わせて10億円の大台に達しました。
当選金の最高倍率は法律によって、1枚あたりの宝くじの金額の50万倍以下と定められています。ただし、総務大臣が指定する宝くじについては250万倍以下となり、年末ジャンボ宝くじはこれに相当します。1枚300円の場合、最高金額は7億5000万円。これに基づき、現在の年末ジャンボ宝くじは1等7億円となっています。
2023年の「年末ジャンボ宝くじ」は、1等前後賞以外も2022年から大型当選にシフトしています。2等の1000万円の当選本数が1ユニット(2000万枚)あたり4本から8本に増えたほか、3等の100万円の本数は1ユニットあたり40本から400本に拡大しました。一方、5等の1万円の本数は1ユニットあたり6万本から2万本に削減されました。一獲千金のチャンスが広がっている背景には、地方自治体の財政難という切実な事情があるのです。
なお、宝くじの賢い買い方や、大型賞金が当選したらどうなるかについては、こちらの記事をご覧ください。
◎ジャンボもミニも高額当せんにシフトした年末ジャンボ宝くじ、賢い買い方は?
◎宝くじで3億円当選!40代独身女性、人生バラ色のはずが友人・家族も離れて…
【主な参考資料】
宝くじ公式サイト
宝くじの概要(総務省)
ポストコロナを見据えた令和時代の宝くじのあり方研究会
年末ジャンボ 今年の狙い目は?-高額当せんを3つに分けて考えてみよう(ニッセイ基礎研究所)