年末ジャンボ宝くじを買い求める人たち(2022年/写真:共同通信社)

(篠原 拓也:ニッセイ基礎研究所主席研究員)

 今年も11月21日より「年末ジャンボ宝くじ」の発売が始まる。振り返ってみれば、この1年、うれしかったことや困ったできごとなど、いろいろあったという人が多いだろう。どんな人も、この宝くじで“今年最後の運だめし”を楽しむことができる。

 今年も最高当せん金は1等前後賞合わせて10億円と超高額だ。現在5つあるジャンボ宝くじの中で、この最高当せん金は飛び抜けて大きい。昨年までと同様、まさに一攫千金のチャンスといえるだろう。

 今年は、細かい点で昨年と異なる部分もある。それらをみながら、どう狙うべきか少し考えてみよう。

宝くじ公式サイトより

1000万円の当せん本数倍増、100万円は10倍に増えた「ジャンボ」

 年末ジャンボ宝くじには、「年末ジャンボ」と「年末ジャンボミニ」の2つがある。「1等前後賞合わせて10億円」のうたい文句で販売されるのは、年末ジャンボだ。これに対して、年末ジャンボミニの当せん金の最高額は、1等前後賞合わせて5000万円となっている。

 まず、年末ジャンボからみてみよう。

 年末ジャンボは、1等、1等の前後賞、1等の組違い賞については、昨年と全く同じ内容となっている。一方、2等以下については、昨年のものからかなり大幅な変更が行われている。

(1)当せん金1000万円の2等の当せん本数が、昨年の1ユニット(2000万枚)あたり4本から、今年は8本へと倍増
(2)当せん金100万円の3等の当せん本数が、昨年の1ユニットあたり40本から、今年は400本へと10倍に増加
(3)当せん金1万円の5等の当せん本数が、昨年の1ユニットあたり6万本から、今年は2万本へと3分の1に減少
*1枚300円に対する当せん金の期待値は、149.995円のまま変わらず

 今年の宝くじでは、当せん金1000万円の2等と当せん金100万円の3等の当せん本数を大幅に増やす一方で、当せん金1万円の5等の本数を減らす形で組み替えを行ったことになる。つまり、1000万円や100万円の高額当せんに大きくシフトしたわけだ。

 それでは、100万円以上の当せん金を当てるには、どれだけくじを買ったらよいか。計算してみると、平均的には、4万8662枚のくじを買うと100万円以上の賞が1本当せんするという結果になる。

 さらに、これだけのくじを買うと、平均的に4等4本、5等48本、6等486本、7等4866本の当せんが期待できる。4等から7等の当せんで、平均的に当せん金359万7800円が受け取れる。100万円以上の賞の当せんと合わせて、459万7800円以上の当せん金の受け取りが期待される。

 ただし、1枚300円のくじを4万8662枚買うためには、1459万8600円が必要となる。たとえ459万7800円の当せん金を受け取ったとしても、1000万円以上もの持ち出しとなってしまう。大量購入を考える場合には、購入額と当せん金の受取額の関係に十分注意しておく必要があるだろう。

 年末ジャンボは、「一攫千金の狙いを中心に据えながら、あわせて当せん金100万円以上の高額当せんも狙いたい」という高額当せんの願いにかなうくじと位置づけられる。


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 ここで、ややトリッキーなのは、当せん金1万円の5等をどう考えるかという点だ。昨年の当せん本数から3分の1に減少したなどというと、随分と減った印象がある。だが、それでも1ユニットあたりの当せん本数は2万本もある。当せん金1万円の受け取りの魅力も、まだまだ捨てたものではないということができる。

 年末ジャンボでは、平均的にいうと、くじを885枚買ったら1万円以上の賞が1本当せんすることになる。885枚のくじからは、平均的に6等8本、7等88本の当せん金(5万400円)の当せんも期待できる。1万円以上の賞の当せんと合わせて、6万400円以上の当せん金の受け取りが期待される。ただし、くじを885枚買うためには26万5500円が必要なので、やはり平均的には持ち出しとなる。