40歳代以下から人気の「MUJI×UR団地リノベーション」
なかでも人気に拍車をかけているのが、URと「無印良品」との協業によるリノベーションだろう。
もともと、「無印良品」を展開する良品計画では、家具や住設機器だけではなく、木造住宅(グループ企業のMUJI HOUSEが手がける「無印良品の家」)も建築していたが、そのノウハウを活かして2012年から、UR都市機構と提携。「MUJI×UR団地リノベーションプロジェクト」を展開するようになった。
URの団地にある賃貸住宅の住戸を団地の優れた部分を生かしながら無印良品ならではの視点からリノベーションするプロジェクトで、当初は関西からスタートしたが、好評につき首都圏から近畿圏、九州まで全国に拡大。2022年末段階で61団地に進出し、リノベーションの実績は1200戸以上に達している。
「部屋をいったんスケルトン状態にして、お仕着せの間取りを取り払ってから、無印良品らしい住まいにリノベーションすることをコンセプトにしています」(株式会社MUJI HOUSE リノベーション事業部の豊田輝人部長)
別掲の写真にあるように、リノベーション後は最新のマンションかと見紛うばかりの、おしゃれな住まいになっている。
具体的なプランには、「MUJI×UR PLAN」と「MUJI×UR PLAN+S」のふたつのシリーズを用意している。
「MUJI×UR PLAN」は、広い一室空間の間取りで、自由にアレンジできる余白を残した自由度の高い住まいで、「MUJI×UR PLAN+S」は、充実した押入収納と長押(なげし=柱と柱をつなぐ横材)を使って自由にアレンジできる壁面など、収納を充実させることでスッキリした暮らしが可能なプランとなっている。
一般的な住戸よりもターゲットを絞ったリノベーションが行われているのだが、それでも入居者を募集すると、スムーズに入居者が決まり人気も高い。
団地の場所や住居の広さなどによって異なるものの、入居者は40歳代以下の若い世代の希望者が多いという。シングルからファミリーまでさまざまで、多様なライフスタイルの人たちから支持されているようだ。
なかには、「MUJI×UR団地リノベーションプロジェクト」がスタートした当初にリノベーションされた団地に引っ越し、その後現在まで住み続けている人もいる。住人は「飽きのこないプランやデザインなので、衣替えしながら安心して住み続けています」と話す。一方、「UR賃貸は仲介手数料や礼金、更新料がかからないので、定期的に最新のリノベーションマンションに移れるという安心感があります」と話す人もいる。